ヨーロッパの香水と日本の香炉。人はずっと香りと暮らしてきた

香りのはなし

「お風呂の代わりに香水」って本当?昔も今も、人は香りと暮らしてきた

2026.09.10

この記事でわかること

香水にまつわる、ちょっとした話をする回です。知らなくても困らないけれど、知るとすこし面白い。そんなことを書いていきます。

今回は「昔のヨーロッパではお風呂に入らなかったから香水が発達した」という、よく聞くあの話について。

「昔のヨーロッパでは、お風呂に入らなかったから香水が発達した」

そんな話、聞いたことありませんか。

わたしもどこかで耳にして、へえ、と思っていました。

でも調べてみたら、どうやらそこまで単純な話でもないようです。

お風呂の代わりに、香水?

まず、ヨーロッパにも入浴の文化はありました。時代や地域によって事情は違いますし、「まったく風呂に入らなかった」というわけではないようです。

そして香水が発達した背景には、衛生の事情だけでなく、香料の交易や、蒸留の技術が進んだことなど、いろいろな理由が重なっていたと言われています。

つまり「お風呂に入らないから香水」という話は、いろいろあるうちのひとつを、わかりやすく取り出したものなのかもしれません。

それでも面白いのは、人が昔から「香り」を暮らしの中に取り入れてきたということ。理由がどうであれ、そこは変わらないんですよね。

今のわたしたちも、同じことをしている

考えてみれば、いまのわたしたちだってそうです。

  • お風呂には、入浴剤
  • 部屋には、ルームフレグランス
  • 洗濯物には、香りのある柔軟剤
  • そして、お出かけ前には香水

清潔にするためだけなら、香りはなくても困りません。お湯だけでも体は温まりますし、無香料の洗剤でも汚れは落ちます。

なのにわたしたちは、わざわざ「いい香り」を足したくなる。

この感覚は、たぶん昔の人とそんなに変わらないのだと思います。

香水が生活必需品ではないという話は「香水って必要?なくても大丈夫?」にも書いています。なくても困らないのに、なぜか人は香りを求めてしまうんですよね。

日本にも、香りを競う文化があった

日本にも、昔から香りを楽しむ文化がありました。

平安時代の貴族たちは、香を焚くだけでなく、衣服に香りを移したりしていたそうです。着ているものから、ふわりと自分の香りがする。いまの香水の使い方と、ちょっと似ていますよね。

さらに面白いのが、「薫物合(たきものあわせ)」という遊び。

自分で調合した薫物を持ち寄って、その出来を競い合うというものです。香りのセンスを見せ合う場、といったところでしょうか。

香りが、その人らしさやセンスを表すものでもあったんですね。

「どの香水をつけているか」でなんとなくその人の雰囲気が伝わる、といういまの感覚とも、どこか通じている気がします。

ヨーロッパでも、日本でも

時代も場所も違う。使っていたものも、楽しみ方も違う。

それなのに、人はずっと香りと一緒に暮らしてきました。

いい香りを嗅ぐと、気分が変わったり。

誰かの香りを、ふと思い出したり。

季節を、香りで感じたり。

香りって、なくても生きてはいけるものなのに、ずっと人の暮らしからなくならないんですよね。

季節と香りの関係については「秋の香水、何を選ぶ?」でも触れています。気温が変わると香り方まで変わるので、季節を感じる手段としてもよくできています。

まとめ

  • 「お風呂の代わりに香水」という話は、少し単純化されたもののようです。
  • ヨーロッパにも入浴文化はあり、香水の発達には交易や蒸留技術など複数の背景がありました。
  • 入浴剤、ルームフレグランス、柔軟剤。いまのわたしたちも香りを足しています。
  • 平安時代には、調合した薫物の出来を競う「薫物合」という遊びがありました。
  • 時代も場所も違うのに、人はずっと香りと暮らしてきました。

香りのポテンシャル、すごくないですか。

そう考えると、今日つける香水も、なんだか少し面白く感じてきます。