安い香水と高い香水。大きさの違う2本のボトルが並んでいる

香水の基本

安い香水と高い香水、何が違うの?値段で変わること・変わらないこと

2026.11.05

この記事でわかること

3千円の香水と、3万円の香水。同じ「香水」なのに、10倍の差があります。この差がどこにあるのか、分けて説明します。

そして、値段では変わらないものもあります。gokutakuでレビューした18本を並べてみたら、持続時間は値段の順になっていませんでした。

お店で香水を見ていると、となりあわせで3千円のものと3万円のものが並んでいたりしてびっくりすることがあります。ついついゼロの数を数え直したり。

どちらも同じくらいの大きさで、どちらもいい匂いがする。

この10倍は、いったい何の差なんだろうって疑問に思ったことは少なくないと思います。

「高いほうがいいに決まっている」って言われると、なんとなくそうかな?って思ってしまいます。でも、何がどういいのかは、説明されることも少ないし、ちょっと店員さんに聞くのも勇気が要りますよね。

そこは、分けて考えるとすっきりします。

10倍の差は、どこにあるのか

香水の値段には、いろいろなものが含まれています。作る手間、運ぶ費用、お店の取り分、輸入にかかるお金。全部を数えるのは、買う側には無理です。

なので、ここでは4つに分けて考えてみます。買うときに役に立つのは、この4つだからです。

  • 香料そのものの値段……何から香りを取っているか
  • 濃度……その香料が、どれくらい入っているか
  • 容器と箱……ボトル、キャップ、パッケージ
  • 売るためのお金……広告、お店、接客

このうち香りに直接きいてくるのは、上の2つだけです。下の2つは、香りそのものとは関係がありません。

「高いのに、思ったほど香らない」ということが起きるのは、このためです。

順番に見ていきます。

変わること① 香料そのものの値段

香水の原料には、天然香料と合成香料があります。

天然香料は、びっくりするほど効率が悪い

花や果実から香りを取り出すのですが、採れる量がごくわずかです。

たとえばバラ。水蒸気蒸留でローズオイルを1kgつくるのに、花びらが約3,000kg必要だと言われています。溶剤で抽出するアブソリュートだと、4,000〜5,000kgという数字もあります。

3トンの花びらから、1kg。しかも摘むのは手作業で、朝の数時間だけ、という産地もあります。

これが、高い香水が高い理由のひとつです。原料の時点で、もう高い。

※ 採れる量は品種・産地・収穫時期・蒸留のしかたで変わります。上の数字は目安です。

でも、合成香料が「安物」というわけではありません

「天然のほうがよさそう」という感じ、ありますよね。食べものでも、よくそう言われますし。

でも香水では、そうとも限らないんです。

合成香料は、天然では手に入らない香りを作るためのものでもあります。

いちばんわかりやすいのがすずらんです。

すずらんは、花から香りを取り出せません。理由のひとつは、摘んだとたんに香りの成分が飛んでしまうこと。そのため、商業的に使えるすずらんの精油は、ありません。

香水に入っている「すずらんの香り」は、すべて分子を組み立てて作ったものです。それでも、嗅げばちゃんとすずらんです。

ちなみに、この香りを合成で作れるようになったのは1900年代のはじめごろ。100年以上前からある技術です。

つまり、合成香料は代用品ではなく、技術です。高い香水にも、たっぷり使われています。

「天然だから上等、合成だから安物」ではありません。どちらをどう組み合わせたかが香りを決めます。

変わること② 濃度(香料の割合)

もうひとつが濃度です。アルコールのなかに、香料がどれくらい入っているか。

種類 香料の濃度 持続時間の目安
パルファム 20〜30% 7時間以上
EDP(オードパルファム) 15〜20% 5〜7時間
EDT(オードトワレ) 5〜15% 3〜5時間
EDC(オーデコロン) 3〜5% 1〜2時間

濃いほど香料をたくさん使うので、同じブランドの同じ香りなら、EDPのほうがEDTより高くなります。

ここまでは、わかりやすい話です。

ところが、値段と濃度は一致しません。

百貨店に並ぶ高級ブランドでも、EDTはたくさんあります。手に取りやすい価格でも、EDPはあります。「高い=濃い」ではありません。

種類の見分け方は「EDT・EDPの違いって何?」にまとめています。ボトルのどこに書いてあるかも書きました。

変わらないこと 持続時間は値段の順ではない

ここからが、この記事でいちばん言いたいところです。

gokutakuでレビューした18本を、持続時間の順に並べてみました。値段の順にはなっていません。

香水 種類 持続の目安
クロエ オードパルファム EDP 約5〜8時間
SHIRO サボン EDP 約5〜7時間
ジョー マローン ピオニー&ブラッシュ スエード コロン 約5〜7時間
キャシャレル アナイス アナイス EDT 約4〜6時間
ナルシソ ロドリゲス フォーハー EDT 約4〜6時間
ブルガリ プールオム EDT 約3〜5時間

※ 持続時間の目安を出している12本から、幅がわかるものを選びました。12本すべての表は持続時間の記事にあります。

注目してほしいのは、SHIRO サボンとブルガリ プールオムです。

SHIRO サボンは、この18本のなかでは手に取りやすい価格帯。ブルガリ プールオムは百貨店の定番です。

それでも、長く香るのはSHIRO サボンのほうです。

からくりは単純で、SHIRO サボンがEDP、ブルガリ プールオムがEDTだからです。値段ではなく、濃度の差です。

キャシャレル アナイス アナイスも同じです。1978年からあるクラシックな香水で、価格は抑えめですが、4〜6時間香ります。

長く香る香水がほしいなら、値段より先に、ボトルの濃度の表示を見てください。値段を見るより、よっぽど当たります。

ただし、これも絶対ではありません。

上の表をもう一度見てください。ジョー マローンのピオニー&ブラッシュ スエードは「コロン」なのに5〜7時間。EDTのどれよりも長く香ります。

ジョー マローンのコロンは、一般的なオーデコロンより濃いめに作られています。それでも、EDPではありません。

スエードとムスクという、もともと長く残る香料が入っているからです。

つまり、持続時間を決めているのは濃度と、香りの系統。この2つです。値段は、どちらにも入っていません。

香り以外に、何を買っているのか

残りの2つ、容器と広告の話です。

高い香水は、ボトルにお金がかかっています。重たいガラス、金属のキャップ、しっかりした箱。これは香りには影響しませんが、持っていて嬉しいのは確かです。

贈りものにするときは、ここが効いてきます。開けた瞬間の印象が違うからです。

広告やお店の接客にも、お金がかかっています。カウンターで相談しながら選べるのは、そのぶんが入っているからです。

これを「ムダ」と切り捨てる必要はないと思っています。自分が何にお金を払っているかがわかっていれば、それでいいからです。

ボトルが好きで選ぶのも、ちゃんとした選び方です。

大きいボトルは、本当に得なのか

お店でよく言われます。「100mLのほうが、1mLあたりはお得ですよ」と。

これは本当です。たいていのブランドで、大きいボトルほど1mLあたりは安くなります。

ただ、使い切れるかどうかは別の話です。

1プッシュで出る量は、だいたい0.1mL。毎日2プッシュ使うとして、計算するとこうなります。

容量 何プッシュ分 毎日2プッシュなら
30mL 約300回 約5か月
50mL 約500回 約8か月
100mL 約1,000回 約1年4か月

ここで思い出してほしいのが、香水の寿命です。開けたあとの目安は1〜3年。ヨーロッパのブランドだと、ボトルに「12M」(開封後12か月)と書いてあることもあります。

つまり100mLは、毎日使ってやっと使い切れる量です。

何本かを気分で使い分ける方だと、1本あたりの出番は半分以下になります。そうすると100mLは、使い切る前に寿命が来てしまうかもしれません。

どれくらい持つかは、置き場所でも変わります。日の当たるところに出しっぱなしだと、もっと早く傷みます。

1mLあたりが安くても、捨てたら高い買い物です。

毎日同じ香水をつける方は、大きいボトルでかまいません。使い分ける方は、30mLか50mLのほうが結局おトクです。

開けたあとの寿命と、劣化のサインは「香水の賞味期限ってあるの?」に、置き場所の話は「香水はどこに置くのが正解?」に書いています。

で、どっちを選べばいいの?

場面で分けると、迷いにくくなります。

こんなとき どちらが向いているか
はじめての1本 手に取りやすい価格から。合わなかったときの痛みが小さい
毎日つける 手に取りやすい価格から。減りが早いので、気兼ねなく使えるほうがいい
長く香らせたい 値段より、濃度と香りの系統を見る
贈りもの 高いほうが向いている。箱とボトルの印象が効く
特別な日に使う 高いほうでもいい。使う回数が少ないので、1本が長く持つ

高い香水を買うなら、小さいサイズからという手もあります。同じ香りでも、5mLや10mLなら数千円で買えることがあります。

小さいサイズのある香水は「香水ミニボトル おすすめ13選」にまとめました。お店での試し方は「お店のテスター、どう試すのが正解?」に書いています。

まとめ

  • 値段には、作る手間や輸送やお店の取り分も入っています。ここでは「香料」「濃度」「容器」「広告」の4つに分けて考えました。香りにきくのは、前の2つだけ。
  • 天然香料は採れる量が少ないので高い。ローズオイル1kgに、花びらが約3,000kg。
  • 合成香料は代用品ではありません。すずらんのように、合成でしか作れない香りがあります。
  • 高い=濃い、ではありません。高級ブランドのEDTも、手に取りやすい価格のEDPもあります。
  • gokutakuの18本では、持続時間は値段の順になっていませんでした。決めているのは濃度と香りの系統です。
  • 長く香らせたいなら、値段ではなく濃度と香りの系統を見てください。ムスクやバニラが入っていると、薄い濃度でも長く残ります。
  • 大きいボトルは1mLあたりは安いけれど、100mLは毎日使ってやっと1年4か月。使い分ける方は30mLか50mLのほうが結局おトクです。

高い香水には、高いなりの理由があります。でもそれは、必ずしも「あなたにとっていい香水」という意味ではありません。

毎日つけたい香りと、特別な日に開けたい香り。求めているものが違えば、選ぶものも変わります。

値段は、香りの good・bad を決めません。決めるのは、自分の鼻です。